撮影スタジオ・屋内でのストロボ撮影のカメラ、マニュアル設定方法について解説

2022年9月8日 テキスト修正・リンク修正

みなさまこんにちは。株式会社ラズスタジオの綾です。

今回のブログは、スタジオ・屋内などの環境下で、自然光ではなく、ストロボなどの人口光を使用して撮影する際のカメラの設定方法の考え方やプロセスについて簡単に解説していきます。

ストロボを使用した撮影のメリットは、

  • 自然光などの天候、環境や運に左右されずに撮影ができる。
  • 撮影者自らが光を操り、思い描いた写真を作り上げられる。

ことが挙げられます。

しかし、ストロボを使い始めのときは、なかなか思い描いている仕上がりとは異なってしまっていませんか?光が強すぎてしまったり、暗くなってしまったり等々…。思い描いている写真を作り上げられず、ストロボに苦手意識を持ってしまったということをよく聞きます。

そんな問題を解決する方法は、

  1. カメラをマニュアルモードで撮影
  2. カメラの露出設定
  3. ストロボの光量設定

この3点が解決ポイントとなります。

今回のブログは、この3点について実際の撮影を交えながら解説していきます。

1.スタジオ・屋内でのストロボ撮影時にマニュアル設定をオススメする理由

まず初めに、ストロボを使用する撮影において、なぜカメラの設定をオートではなくマニュアル設定で撮影することをオススメする理由をお伝えします。

1-1.カメラのオート機能について

カメラの各種オート機能は、カメラに内蔵されている露出計が計測した風景の明るさをもとに、設定している露出補正になるようにカメラの露出設定を行い撮影をサポートする機能です。

露出設定についてはこちらの記事でより詳しく解説しております。(新しいタブで開きます)

しかし、ストロボは撮影する瞬間にだけ光るフラッシュ光です。

そのため、オート設定の状態のカメラでは、シャッターを切った瞬間に発光するストロボの光を過剰に取り込んでしまう場合があります。その結果、光を過剰に取り込んでしまうことで真っ白な写真に仕上がることがあります。

これがよくあるオート撮影でのストロボ撮影の失敗例の一つでもあります。

そうならないためには、ストロボを前提としたカメラの設定をしてあげること、つまりカメラに自動的に環境を感知してもらうのではなく、自分でコントロールできるマニュアル設定での撮影をオススメしています。

 

2.スタジオ・屋内でのストロボ撮影時のマニュアル設定の基本

2-1.ISOについて

ISOは取り込む光の量と明るさに影響します。

基本はストロボの光だけを感知できる数値にしましょう。

ストロボの光は強い光ですので、ISOとしては100などの低いISO値をベースに、仕上がりの明るさの調整に使用します。

理由は、ストロボの光を最大限に活用するために、ストロボ以外の光を取り込まないようにするためです。

例えば、ISO感度を上げてしまうと、ストロボの明るさを過剰に感知してしまうだけでなく、ストロボ以外のかすかな光も感知ししてしまうことで写真の仕上がりが明るくなりすぎたり、ノイズが発生してしまうからです。

低いISO値にすれば、強いストロボの光はしっかりと感知し、その他の環境光は、その光の弱さからカメラは明るさを感知しません。

つまり、ストロボの光だけを感知し状態で撮影が行えるということです。

ISOについてはこちらの記事でより詳しく解説しております。(新しいタブで開きます)

2-2.F値(絞り値)について

F値は被写界深度(ピントの深さ)と明るさに影響します。

基本ベースとしてはF5.6がおすすめです。基本的なレンズに搭載されている標準域の絞り値なので、F5.6をベースにピントの深さや明るさを上下自由に調整できるからです。

例えば、撮影する対象が、人物であれば1名だったり、対象物が1点だとして場合は、F値によるボケ感というのはあまり必要がないので、F5.6よりも数字の大きい方の絞り値(絞り寄り)にすれば、ピントがしっかりとあった仕上がりになります。

この場合、明るさが暗くなりますので、ストロボの光量を上げる。もしくはISO感度を上げるなどの明るさの調整が必要です。

反対に、意図的にぼやけさせたい背景がある場合は、F値をF5.6より数字の小さい方の絞り値(開放寄り)にすることでボケを発生させることができます。

この場合、明るさが明るくなりますので、ストロボの光量を下げる。もしくはISO感度を下げて明るさの調整が必要です。

このように臨機応変に組み合わせての調整が必要になります。

F値についてはこちらの記事でより詳しく解説しております。(新しいタブで開きます)

2-3.シャッタースピードについて

ストロボ使用時の撮影では、シャッタースピードは手ブレ、被写体ブレに影響しますが、明るさには影響しません。

そのため、1/125といった、手ブレも被写体ブレも起こさないシャッタースピードを基準として設定します。

2-3-1.手ブレ、被写体ブレについて

もし動きのある被写体をストロボで撮影したい場合は、ハイスピードシンクロができるストロボが必要になりますが、ハイスピードシンクロはカメラやストロボの機能によって異なるなど汎用性に欠けます。

今回はここの部分は省かせていただき、あくまでマニュアルで撮影する場合の被写体を撮影するお話しとさせていただきます。

2-3-2.シャッタースピードはストロボの明るさに影響しません

ストロボの光は自然光などの一定の光を放ち続ける定常光とはことなり、一瞬の強い光を放ちます。

この一瞬の強い光を取り込めるシャッタースピードの限界の速さを同調速度とよびます。この同調速度を超えるまではシャッタースピードが早くても遅くても、ストロボの光の明るさには影響を及ぼしません。

この同調速度は、それぞれのストロボのスペックによって異なりますが、昨今のストロボでは大体1/125あたりがその速度に該当できるので、1/125を基準にします。

1/125以上のシャッタースピードで、黒い幕が映されたらそれがそのストロボの同調速度を超えた目安といえます。

基本ベースとしては、手ブレを起こさないシャッタースピードとして1/125を基準として設定します。

シャッタースピードについてはこちらの記事でより詳しく解説しております。(新しいタブで開きます)

2-4.ストロボについて

ストロボについては、2つの要素があります。“光量”と、“被写体との距離”です。

2-4-1.ストロボの光量について

ストロボの光量は光の強さと明るさに影響します。

最大出力量は1/1と表記されます。明るさの度合いには各機種ごとに定められたGN(ガイドナンバー)に準じますが、1/1はそのストロボが発揮できる最大の光の強さといえます。

但し、1/1の最大出力を連続して発光すると、ストロボ本体に負荷をかけてしまい、熱によるショートを起こす可能性があります。

また、クリップオンストロボ場合、電池の消耗を速めてしまいます。

よって、ストロボを長く安全に使用したい場合は、使用可能な光量数値の中間を基準として、明るくしたり暗くしたりバランスを見て調整を行いましょう。

2-4-2.ストロボと被写体との距離について

ストロボの被写体との距離は、光の強さと範囲に影響します。

被写体に近づけるほど光は強くなり、遠くなるほどに光は弱くなります。

つまり、被写体に光が必要だが、光量がどうしてもこれ以上強くできない場合は、被写体に近づけることで解決できたり、逆に被写体に光が強くなりすぎている場合は、被写体から離すことで解決できる場合があるほど、ストロボを使用する場合は距離も重要となります。

距離については大体1m~2mほど離した位置から調整することをオススメします。(ストロボに使用するディフューザーによって異なります)

3.(実践解説)スタジオでストロボの光だけを使って撮影

真っ暗な写真からストロボを1/16の光量で撮影した写真

それでは実際に撮影をした流れにそって、上記写真の仕上がりまでのカメラ設定ならびにストロボの設定の流れを解説していきます。今回のライティングの設置はこのようになっています。

撮影ライティングセッティング図

右側の光を起こすためにストロボの向かい側に銀レフを設置しました。

3-1.ストロボの設定

まずはストロボの光量を設定していきます。

3-1-1.ストロボの光しか感知しないカメラ設定にする

ストロボの光しか感知しない環境並びに設定を行います。

今回はISO100、シャッタースピード1/125、F値5.6で真っ暗な写真を撮影できました。

室内灯を感知させずに撮影した真っ黒な写真

ISO100、シャッタースピード1/125、F値5.6

3-1-2.ストロボを点灯し、ストロボの光量を調整する

先ほどの設定のままストロボを光量1/16で発光して撮影しました。

<ISO100、シャッタースピード1/125、F値5.6、ストロボ光量1/16

ストロボの光量はが少ないため、被写体がほとんど映し出されていませんので、さらにストロボの光量を上げます。

<ISO100、シャッタースピード1/125、F値5.6、ストロボ光量1/8

ストロボの光量を1/8に設定し撮影しました。

先ほどより明るくなりましたが、まだまだ暗いので、さらに明るくします。

<ISO100、シャッタースピード1/125、F値5.6、ストロボ光量1/4

ストロボの光量を1/4に設定しました。

ようやく、被写体全体が明るくなりました。しかし左側の背景が白飛びしてしまっています。ブログ画面上でも境界線がわからなくなっています。

被写体への明るさは丁度いいですが、ストロボに近い場所が明るくなり過ぎているので、ここからはカメラの設定で調整していきます。

3-2.カメラの設定で調整する

現在の設定はISO100、シャッタースピード1/125、F値5.6、ストロボ光量1/4です。ここからカメラの設定を調整していきます。

この時点の問題点はストロボに近い方が白飛びしてしまっている明るさの問題です。

ここで挙げられる解決方法としては2つ。ISOを調整するか、F値を調整するかです。

  • ISOを調整すると取り込む光の量と明るさに影響します。
  • F値を調整すると被写界深度(ピントの深さ)と明るさに影響します。

この2つの値を考えたときに、ピントか明るさを考え、撮影した写真を確認します。

そうすると、私の中で、「もう少し、ピントが決まったシャープ感が欲しいな」という思いが芽生えました。なので、今回の調整はF値で調整をすることにしました。

3-2-1.F値で調整をする

<ISO100、シャッタースピード1/125、F値8.0、ストロボ光量1/4>

F値を5.6から8.0に絞り、撮影をしました。F値を絞ることで、暗くすることと、ピントを合わせる被写界深度を深めるためです。

暗くなり、ストロボに近い部分の白飛びが解消しました。全体できな仕上がりにも少しシャープ感が出てきました。しかし写真全体が暗くなりすぎ、またピントのシャープ感も強くなりました。そのためF値をもうすこし解放寄りに調整しました。

<ISO100、シャッタースピード1/125、F値6.3、ストロボ光量1/4>

F値を8.0から6.3に開放、撮影をしました。F値を解放することで、今度は明るくすることと、ピントを合わせる被写界深度を浅くするためです。

全体的に明るく、なりつつも、左側の白飛びは防げています。しかし、造花の中心部にある白色の部分の色が白っぽくなり過ぎているので、もう少しだけF値を調整します。

<ISO100、シャッタースピード1/125、F値7.1、ストロボ光量1/4>

F値を6.3から7.1に絞り、撮影をしました。

ここまでくれば説明が不要なので省きますが、つまりカメラのマニュアル設定は最初は大まかに設定しながら、徐々に問題点を絞り、中間点を見出して、理想に近づけていくのがポイントになります。

この細かな作業ができるのもマニュアル撮影ならではです。

この仕上がりを見て、今回の撮影は

<ISO100、シャッタースピード1/125、F値7.1、ストロボ光量1/4>でゴールとしました。

 

もちろんこのゴールは人それぞれの思い描く写真によって異なりますので、あくまで一つの参考例としてくださいませ。

4.(おまけ)色味の調整はホワイトバランスで行う

ここまでカメラの設定とストロボの設定の露出についてお話しをしてきました。ここに+αの暖かさをプラスする方法もお伝えします。

4-1.太陽光(5200K)で撮影

<ISO100、シャッタースピード1/125、F値7.1、ストロボ光量1/4、WB太陽光(5200K)

今回の撮影では太陽光(5200K相当)で撮影を行いました、このままでも綺麗ですが、少し青みがかかっており、アンティーク調の可愛い造花なので温かさが欲しいと思いました。

4-2.くもり(6000K)で撮影

<ISO100、シャッタースピード1/125、F値7.1、ストロボ光量1/4、WBくもり(6000K)

カメラの設定もストロボの設定もそのままに、ホワイトバランスをくもり(6000K)で撮影をしました。そうすると暖色の色味が乗り、あたたかな印象に仕上げることができました。

このように、写真の雰囲気を変える方法のひとつとしてホワイトバランスが活躍できます!ホワイトバランスはストロボの明るさなどに直接影響はありませんので、最後の仕上げ調味料のように活用すればより表現の幅を広げることも可能です!

5.まとめ

ストロボ撮影において、明るくするには、ストロボの光を強くすればいいと考えがちです。

しかし、実はそうではなく、カメラの設定から、ストロボと被写体との距離など様々な要素が組み合わさって、理想に描いた一枚の写真が仕上がります。

是非今回のブログを読んで、そんな写真の奥深さと楽しさを感じていただき、ぜひ調整していただければ幸いです。

ストロボを使った撮影方法は下記記事でもご紹介しておりますので、ぜひご覧くださいませ。

【初心者向け】 自然光再現のストロボライティングのポイントと方法をご紹介!

【白ホリ(白背景)での人物撮影レシピ】ストロボを使って背景をグレーバックにする方法

スタジオ撮影で晴れの日でなくても、影のある写真を撮影する時短な方法

 

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それでは、今回の記事はここまで。

最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!

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